
小児期トラウマがもたらす病 ACEの実態と対策
ドナ・ジャクソン・ナカザワ
Pan Rolling Inc / 2018-02
この本について
子どもの頃のことって、大人になってからも身体や気分に妙に影響している気がする。理由はうまく言えないけれど、ストレスに弱い気がしたり、同じ状況でも人より心がざわつきやすかったり。自分だけの問題なのか、性格なのか、その線引きがずっとあいまいなままになることってありますよね。 この本は、その曖昧さに少し輪郭をつけてくれます。たとえば、幼少期のストレスが遺伝子レベルでストレス反応の調整に影響を残すこと。予測できない環境に長く置かれた子どもの脳は、成人後もストレスを危険と過剰に判断してしまうこと。そして、「不健康な行動に走るから不調になる」のではなく、行動とは関係なく心臓病や自己免疫疾患のリスクが上がるほど、身体そのものが変わってしまうこと。読んでいると、自分の反応や生きづらさが「弱さ」ではなく、脳や身体の仕組みとして説明できるのだと腑に落ちます。 同時に、絶望だけで終わらせない視点もあります。強いストレス環境でも、早い段階で信頼できる大人とつながれた子は回復力が戻る可能性が高いこと。記憶は固定ではなく、新しい経験で少しずつ書き換わること。自分の過去を丁寧に書き出すことで、脳が負った負荷をゆっくりと解いていけるという研究があること。こうした現実的な希望の示し方も、この本を重くしすぎない理由だと思います。 過去とどう向き合えばいいのかずっと決めきれずにいる人、自分の反応の「説明のつかなさ」に疲れている人には、とても静かに効いてくる本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの30%が集中しています。
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