
良き社会のための経済学 (日本経済新聞出版)
ジャン・ティロール and 村井章子
日経BP / 2018-08-24
この本について
最近、社会問題の話を見聞きすると「結局どこから手をつければいいんだろう」とぼんやり迷うことが多いです。怒りだけが先に立ってしまったり、逆に自分の思い込みを守るために不都合な情報を避けてしまったり。頭では冷静でいたいと思いながら、気づけば感情やバイアスに振り回されているんですよね。 『良き社会のための経済学』は、そんな迷いを真正面から扱ってくれます。たとえば、温暖化は一国の努力だけでは逆効果になること、だからこそ「怒り」ではなく制度設計で考える必要があることが丁寧に語られています。また、市場は万能でも悪でもなく、状況に応じて失敗しやすい領域があり、そこをどう補正するかを具体的に説明してくれる。自分の思い込みや感情が判断を濁す仕組みもかなり踏み込んで書いてあり、単なる知識ではなく「自分の考え方の癖」を見直すきっかけになります。 読んでいて強く感じたのは、この本が「感情だけでも、理屈だけでも社会は動かない」という現実をそのまま見せてくるところです。意見が割れるテーマについても、著者が過度に断定しない分、こちらも自分の頭で考えざるを得なくなる。そういう意味で、社会問題への距離の取り方を一度リセットしたい人に向いていると思います。 自分の考えに確信が持てないまま議論に巻き込まれがちな人、あるいは「感情と合理の折り合い」をつけたい人には特に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの34%が集中しています。
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