
つくられた格差~不公平税制が生んだ所得の不平等~
エマニュエル・サエズ, ガブリエル・ズックマン, and 山田 美明
この本について
なんとなく「格差が広がっているらしい」と聞きながら、自分の生活にどう関係するのかはよく分からないまま、でもどこかモヤっとする。税金の話になると余計にそうで、収入が増えても負担感ばかり大きくなる気がするし、かといって何がどう不公平なのか、説明しろと言われると曖昧なまま……。そんな状態が続いていたとき、この本を読むと輪郭がはっきりしてきました。 まず大きかったのは、「中流が消えている」というよくある語りよりも、実は“労働者階級の所得が極端に削られている”という事実をデータで示してくれるところです。ぼんやりとした不安が、どの層にどう影響しているのか、具体的に位置づけられるようになります。そしてもう一つは、富裕層が税金をほとんど払わずに済んでいる状況が“仕方ない”ではなく、歴史的な政策の積み重ねでつくられてきたものだとわかる点。租税回避の仕組みや、法人税の変遷など、普段ニュースの表面だけでは見えない背景が整理されていきます。 それでも読んでいて希望が持てたのは、著者が「修正不能ではない」と淡々と示しているところでした。多国籍企業への課税や、非課税資本所得へのメスなど、実際に取り得る方向性がある。自分ひとりで社会を変えられるわけではないけれど、少なくとも“構造のどこが問題なのか”を理解できると、ニュースを見るときの視点が変わります。 社会の不公平感に名前をつけたい人、あのモヤモヤに根っこがあるのか知りたい人には静かに刺さる本だと思います。
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ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの26%が集中しています。
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