
望み (角川文庫)
雫井 脩介
TOブックス / 2026-01-15
この本について
人間関係で「正論を言ってるはずなのに伝わらない」とか、「家族のことで自分の覚悟をどこに置けばいいのか分からない」とか、そういうモヤモヤって誰でも抱えると思います。相手の立場や感情が絡むと、こちらの理屈なんて簡単にねじれてしまうし、自分でも何が“正しい”のか分からなくなる瞬間があるんですよね。 『望み』を読んでいて印象的だったのは、登場人物たちがそれぞれの立場から“正しさ”を主張しながら、同時に自分の弱さにも向き合わざるを得なくなっていくところでした。「筋が通っているからこそ受け入れてもらえない」という一文は、仕事でも家庭でも何度も思い知らされた感覚に近いですし、「覚悟すれば怖くない」という言葉の裏にある、実際には怖さをごまかせない人間の揺れもよく分かる。必死に守りたいもののために無理な理屈をつくってしまう人たちを見ていると、自分の中にも似た部分があることを認めざるを得ません。 子どもが一瞬で遠くへ行ってしまう描写や、“親としてどこまで背負えるのか”という問いかけも、この作品の重さをつくっているところです。誰もが正解を持っていない状況で、それでも何かを選ばなきゃいけないとき、人はこんなふうに揺れ続けるんだと実感します。事件そのものよりも、人が追い詰められたときの言葉や行動のリアルさが心に残る小説です。 「正しさよりも、人の気持ちの複雑さを描いた物語が読みたい人」に届く一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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