
オペラ入門 (講談社現代新書)
許光俊
講談社 / 2019-10-16
累計読者数5
平均ハイライト数 2.2件/人
推定読了時間 約3時間35分
star総合評価 45/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 71%
この本について
仕事でも人間関係でも、相手の不器用さにイラッとしてしまう場面ってありますよね。頭では「許した方が楽だ」と分かっているのに、感情がついてこないまま1日が終わることもあると思います。僕も同じで、どう折り合いをつければいいのか長く迷っていました。 この本を読んで印象に残ったのは、オペラの物語や音楽を通して「人はみんな愚かで、その前提があるからこそ許しが必要になる」という視点が自然と腑に落ちてくるところです。偉そうに説教されるわけではなく、舞台上の登場人物の失敗やドタバタを眺めているうちに、自分の中の固さが少しほぐれていく感じがありました。また、著者がヨーロッパの劇場で見た光景——平日の夕方におしゃれをして集まる人々——の描写から、「芸術は特別な人のものではなく、生活の延長にあっていい」という感覚が湧いてきて、気負わず楽しんでいいんだと思えたのも大きかったです。 さらに、舞台装置の工夫や神様が突然現れて事態をひっくり返す“機械仕掛けの神”の話など、舞台の裏側を知ることで、オペラがただの格式ばった芸術ではなく、人間の弱さや滑稽さをそのまま抱きしめた世界だと分かってくる。そこに触れると、自分の毎日のドタバタもどこか許せるようになるのが不思議でした。 他人の不完全さと自分の不完全さ、どちらにも少し優しくなりたい人に刺さる本だと思います。
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出版社による紹介
オペラの入門書はもうたくさん世の中にありますし、かくいう私も書いたことがあります。どんな本にしようかとずいぶん迷いました。「トラヴィアータ」や「蝶々夫人」がどれほどの名作か、今更繰り返すまでもないのではないか。作品の個々の情報は、インターネットで簡単に見つかるのではないか。そんな時代に本を出す意味とは何だろう。そんなことを考え、オペラの世界の広さを示す方向性で行こうと決めました。ですので、一応は歴史の流れに沿って章立てをしましたけれど、いわゆる名作、人気作にこだわったわけではありません。そもそも、たとえある作品がどれほど名作と言われていようと、あなたの心を動かさなければ、価値はありません。音楽史の学者にでもなるのでなければ、好きなものを好きなように愛すればよいと思います。それこそが愛好家の特権なのです。ですので、本書を読まれた方は、ぜひ本場でオペラをご覧ください。私が言いたいことはひたすらそれに尽きます。それをしないでオペラを語っても、生身の女性を知らないで女性論を語る未経験な青年のたわごとと変わるところがありません。ただちに、が一番いいことは間違いありませんが、そうでなくても、いつか行くつもりになってください。劇場には発見があります。また、どんなに見慣れた作品にも何か発見があります。それは本当に思いがけなく起こります。この世に存在するたくさんの閉じられたドアがひとつ解きあけ放たれたような気分。そうした経験をするために劇場に出かけることは、人生の大きな楽しみのひとつです。まして、それが外国の劇場でしたら、どれほど嬉しいことでしょう。(「おわりに」より)
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