
百貨店・デパート興亡史 (イースト新書)
梅咲恵司
イースト・プレス / 2020-04-10
この本について
街を歩いていて、昔は「特別な場所」だったはずの百貨店が、気づけばなんとなく元気を失っているように見えることがあります。自分の生活とも仕事とも距離があるようで、でもどこかで「なぜこうなったんだろう」と気になってしまう。そんなモヤモヤを抱えたまま通り過ぎてしまう場所のひとつが、百貨店かもしれません。 この本は、単なる歴史の振り返りではなく、「百貨店の強みとは何だったのか」を軸に読み解いていきます。例えば、価格表示すら曖昧だった時代に定価や返品可を打ち出したパリのル・ボン・マルシェの話を知ると、百貨店ってそもそも“買い物の不自由さ”を壊す存在だったと気づきます。さらに、日本の百貨店が帝劇と並ぶ象徴だった時代の空気を知ると、場所そのものが人の憧れを育てていたことも見えてくる。そして、消化仕入れが広がることで独自性が薄れ、強みが少しずつ揺らいでいく様子を追うと、今の課題にも自然と結びついてきます。 読んでいるうちに、「百貨店が変わった」というより「時代に合わせた役割が変わり続けているだけなんだ」と視点が少しやわらかくなります。都心の一等地を活かした空間ビジネスや、“モノを売らない店”という新しい姿への転換も、急に始まったわけじゃなく、歴史の延長線にある流れとして理解できてくるはずです。 昔の百貨店に懐かしさを感じる人よりも、「変わりゆく商業の仕組みを自分の仕事にも落とし込みたい」というタイプに特に刺さる本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの22%が集中しています。
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