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ムーン・パレス(新潮文庫)

ムーン・パレス(新潮文庫)

ポール・オースター、柴田元幸

新潮社 / 1997-09-26

累計読者数4
平均ハイライト数 6.8件/人
推定読了時間 約5時間8分
star総合評価 40/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 14%

この本について

ときどき、自分が何者なのかよく分からなくなる時期ってありますよね。頑張る気力が湧かないとか、何かしなきゃと思うのに何もできないとか。頭の中ばかり動いて、体がついてこないあの感じです。僕もそういう時期に読んだのが、ポール・オースターの「ムーン・パレス」でした。 この物語の主人公も、考えすぎて、理想ばかり膨らんで、身の回りのものを壊していくような極端な生活に落ちていきます。ただ、その暴走が「痛みとしてのリアリティ」を持って描かれていて、読んでいると妙に自分の姿と重なってしまうんです。欲しいものを手に入れるには、欲しがってはいけないというひねくれた理屈とか、上を見ることではじめて地上の自分の位置が分かるという感覚とか、普段なら突飛に見える考えが、行き詰まった心には妙に腑に落ちる瞬間があります。 僕にとってこの本が効いたのは、迷走することそのものに意味を見出してくれるところでした。人生を一度投げ出したからこそ見える景色がある、と物語自体が静かに証明してくれる。あと、言葉にする前の感情がどう失われていくかとか、十代の頃の勘違いした自信の痛さとか、ぜんぶが「分かる」としか言えないくらい正確なんですよね。 進む方向が分からなくて、自分の現在地すら曖昧だなと思っている人には、とても刺さると思います。迷ったまま読めるし、迷ったまま閉じていいタイプの小説です。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

人類がはじめて月を歩いた夏だった。父を知らず、母とも死別した僕は、唯一の血縁だった伯父を失う。彼は僕と世界を結ぶ絆だった。僕は絶望のあまり、人生を放棄しはじめた。やがて生活費も尽き、餓死寸前のところを友人に救われた。体力が回復すると、僕は奇妙な仕事を見つけた。その依頼を遂行するうちに、偶然にも僕は自らの家系の謎にたどりついた……。深い余韻が胸に残る絶品の青春小説。
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