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東京奇譚集(新潮文庫)

東京奇譚集(新潮文庫)

村上春樹

新潮社 / 2007-12-01

累計読者数4
平均ハイライト数 4件/人
推定読了時間 約2時間24分
star総合評価 42/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 50%

この本について

最近、「自分の人生ってこんなもんなんだろうか」とふと立ち止まる瞬間が増えています。派手な出来事があるわけでもなく、かといって何かを深く考えているわけでもない。ただ流れていく毎日に、うまく言えないモヤモヤが残る。そんなとき、村上春樹の『東京奇譚集』を読み返すと、少しだけ呼吸がゆるむような感覚があります。 この本の人物たちは、特別な人でも、劇的な人生を送っているわけでもありません。むしろ「眠りを誘う低予算の環境ビデオみたい」と自分で言ってしまうような、ごく普通の生活の中で、ちょっとした綻びや孤独に立ち止まっているだけです。でもその停滞の瞬間に、「あるがまま受け入れる」という視点が静かに置かれていて、そこに救われる読者は多いはずです。何者かになろうとしなくても、ただ流砂のような時間に身を預けていい時期もある、と教えてくれる感じがします。 また、登場人物たちの人間関係も驚くほど等身大です。自分の子どもを人としてあまり好きになれなかったり、誰かを甘やかしすぎたり、誰にも言えない違和感を抱えたまま日々をやりすごしたり。うまくやる方法なんて三つくらいしかない、と軽く言いながらも、その裏にある不器用さが妙にリアルです。読んでいると、「自分だけじゃなかったんだ」と肩の力が抜けていきます。 大きな答えがほしいわけじゃなく、ただ日々のモヤモヤにそっと灯りがほしい人に向いている本です。物語の形をしながら、実は自分の内側を静かに照らしてくれる一冊でした。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

肉親の失踪、理不尽な死別、名前の忘却……。大切なものを突然に奪われた人々が、都会の片隅で迷い込んだのは、偶然と驚きにみちた世界だった。孤独なピアノ調律師の心に兆した微かな光の行方を追う「偶然の旅人」。サーファーの息子を喪くした母の人生を描く「ハナレイ・ベイ」など、見慣れた世界の一瞬の盲点にかき消えたものたちの不可思議な運命を辿る5つの物語。

目次

偶然の旅人 ハナレイ・ベイ どこであれそれが見つかりそうな場所で 日々移動する腎臓のかたちをした石 品川猿
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