
東京奇譚集(新潮文庫)
村上春樹
新潮社 / 2007-12-01
この本について
最近、「自分の人生ってこんなもんなんだろうか」とふと立ち止まる瞬間が増えています。派手な出来事があるわけでもなく、かといって何かを深く考えているわけでもない。ただ流れていく毎日に、うまく言えないモヤモヤが残る。そんなとき、村上春樹の『東京奇譚集』を読み返すと、少しだけ呼吸がゆるむような感覚があります。 この本の人物たちは、特別な人でも、劇的な人生を送っているわけでもありません。むしろ「眠りを誘う低予算の環境ビデオみたい」と自分で言ってしまうような、ごく普通の生活の中で、ちょっとした綻びや孤独に立ち止まっているだけです。でもその停滞の瞬間に、「あるがまま受け入れる」という視点が静かに置かれていて、そこに救われる読者は多いはずです。何者かになろうとしなくても、ただ流砂のような時間に身を預けていい時期もある、と教えてくれる感じがします。 また、登場人物たちの人間関係も驚くほど等身大です。自分の子どもを人としてあまり好きになれなかったり、誰かを甘やかしすぎたり、誰にも言えない違和感を抱えたまま日々をやりすごしたり。うまくやる方法なんて三つくらいしかない、と軽く言いながらも、その裏にある不器用さが妙にリアルです。読んでいると、「自分だけじゃなかったんだ」と肩の力が抜けていきます。 大きな答えがほしいわけじゃなく、ただ日々のモヤモヤにそっと灯りがほしい人に向いている本です。物語の形をしながら、実は自分の内側を静かに照らしてくれる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの47%が集中しています。
読書の順序
この本に似ている本
すべて見る arrow_right_alt
The Elephant Vanishes (English Edition)
Haruki Murakami

おやすみ、東京 (ハルキ文庫)
吉田篤弘

遠い太鼓 (講談社文庫)
村上春樹

The Wind-Up Bird Chronicle: A Novel (Vintage International) (English Edition)
Haruki Murakami and Jay Rubin

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(上下)合本版(新潮文庫)
村上春樹
書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more
出版社による紹介
目次
読んだ内容を、もう忘れない。
BookNotion Zなら、Kindleのハイライトを自動で保存・整理。Notionにエクスポートして、いつでも振り返れます。
クレジットカード不要




