
The Wind-Up Bird Chronicle: A Novel (Vintage International) (English Edition)
Haruki Murakami and Jay Rubin
Vintage / 2010-08-11
この本について
日々過ごしていると、自分の気持ちがどこに向かっているのかよく分からなくなる瞬間ってありますよね。相手の声のトーンに揺れたり、ほんの小さな出来事で気分が沈んだり、「この感じを誰かに説明したいのに、言葉にすると全然うまく出てこない」というもどかしさを抱えたまま時間だけが流れていく。そんなときに、世界の“バネ”がどこかで巻かれているような、不思議な静けさをまとったこの物語がふと効いてくることがあります。 村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』は、派手に悩みを解決してくれる本ではありません。でも、読者が保存していた抜粋を見ていると、登場人物たちの曖昧な恐れや、うまく言葉にできない怒り、そして「実際に経験してみないと痛みは分からない」という現実の重さに、自分の感情がそのまま重なっている人が多いのかなと思いました。特に、電話の前で落ち着かない気持ちを抱えたり、家という場所を「 imperfect でも自分で選んだもの」として受け止めようとするシーンは、日常の小さな揺れを抱えている人には響きやすいはずです。 この物語が効くのは、無理に元気になりたい時ではなく、「今の自分の曖昧さをいったんそのまま置いておきたい」と思っているときです。登場人物たちの迷い方や、現実と非現実の境目をさまよう感じに寄り添っているうちに、自分の内側にも確かに“熱源”のようなものがあって、それが大きくなったり小さくなったりしながら自分を動かしているんだと、少しだけ受け止めやすくなる。そんな読後感があります。 曖昧さに耐えている最中の人、自分の痛みをどう扱っていいか分からないまま日々を続けている人に、とくに刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの76%が集中しています。
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