
命は誰のものか 増補改訂版
香川知晶
ディスカヴァー・トゥエンティワン / 2021-04-23
この本について
妊娠や出生の話題になると、どこまで「選ぶ」ことが許されるのか、自分の中で答えが揺れることがありませんか。誰かの正解をそのまま受け取るわけにもいかず、でも議論の全体像もつかみきれないまま、なんとなくモヤモヤだけが残る感じです。僕もずっとその状態でした。 香川知晶さんの『命は誰のものか』は、選択的中絶や出生前診断が「技術」だけの問題ではなく、国ごとに違う価値観や歴史の積み重ねで今の形になっていることを静かに教えてくれます。刺さっていた人が多い抜粋を見ると、法律がどう変わっていったのか、親と子の立場がどう扱われてきたのか、医療がどこでビジネス化するのか、といった“現実の背景”の部分にひっかかりを覚えた人が多いように思います。良し悪しを結論づける本ではなく、「この問題は一枚岩じゃない」と体感させられる本です。 読んでいて特に効いたのは、国によって出生前診断の位置づけがまったく違う、という事実を丁寧に追えるところでした。二分脊椎症がほとんど生まれなくなったイギリス、胎児条項をあえて削除したドイツ、中絶の自由化が普及を後押ししたアメリカ、日本での議論の揺れ。それらを並べて見ると、自分の価値基準が“環境”に左右されていることが見えてきます。また、なぜ未認可施設が増えるのか、検査が「不安ビジネス」になりやすいのかという視点も、日々ニュースを読むときの解像度を上げてくれました。 一歩引いて、このテーマを落ち着いて考え直したい人に向く一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの43%が集中しています。
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