
いのちの停車場 (幻冬舎文庫)
南杏子
幻冬舎 / 2021-04-08
この本について
家族の看病や介護について考えるとき、「どこまで延命を望むのが正しいのか」「本人の気持ちと家族の気持ちがズレたらどうしたらいいのか」といったモヤモヤが、頭のどこかにずっと残り続けることがあります。正解が分からないまま判断を迫られるあの感じ、僕も身近な人の入院が続いたときにずっと抱えていました。 『いのちの停車場』が刺さるのは、そうした“きれいごとでは割り切れない現場の揺れ”が丁寧に描かれているところだと思います。例えば、患者本人は延命を望まないのに家族が「できる限り」を願ってしまう場面や、在宅で看取る覚悟を持ちきれずに不安でいっぱいになる家族の心情。どれも、「実際に自分がその場にいたら同じように迷うだろうな」と思わされます。また、命には限界があるという事実を前に、医療者でさえ答えを見失いそうになる瞬間が出てくるのですが、その揺らぎを“弱さ”ではなく“人として自然なこと”として描いているのもこの作品のやさしさだと感じました。 読んだあとに少しだけ視点が変わるのは、「救えない場面があるからこそ、どう支えるかが大事になる」という静かな気づきが積み上がっていくからです。家族の負担をどう減らすか、患者の小さな楽しみをどう守るか、そして何より、看取る側が自分を責めすぎないために何ができるか。この本は、派手な答えではなく、そうした現実的な行動のヒントをそっと置いてくれます。 身近な人の介護や最期について、「正しさよりも後悔しない選択をしたい」と思っている人に特に届く一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの24%が集中しています。
読書の順序
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