
偉い人ほどすぐ逃げる (文春e-book)
武田 砂鉄
文藝春秋 / 2021-05-27
この本について
最近、「怒っても意味ないよ」「前向きにいこうよ」と言われるたびに、どこか置いていかれる感じがすることが増えました。自分なりに真剣に向き合っているつもりでも、怒りや違和感そのものが“未熟”みたいに扱われると、言葉を失っていくんですよね。じゃあ黙って飲み込んでおけば平和なのかといえば、そんな簡単でもない。 『偉い人ほどすぐ逃げる』は、その「飲み込んだまま固まってしまった感情」に手を伸ばしてくれる本でした。読者の抜粋を見てもわかるように、政治家や組織の“言い訳の技術”、怒る側の気力を奪うような論点ずらし、責任を伴わない綺麗な言い回し…。こういうものに日常で触れ続けていると、自分の感覚のほうが間違っているのかと思ってしまう。でも本書は、その「おかしいと思うほうが正常」という視点を丁寧に差し出してくれます。 特に効いたのは三つで、ひとつは「怒ることや抵抗することがそんなに軽い行為じゃない」と言い切ってくれるところ。次に、権力側の“逃げ方”の具体例がこれでもかと挙がるので、モヤモヤの正体が言語化されるところ。そして、ただ批判するのではなく、どうやって言葉を奪われないでいられるかを考えさせてくれるところです。どれも派手ではないけれど、読み終わると少しだけ背筋が戻るような感覚がありました。 世の中の雑な論調に疲れて、でも流されるのも違う気がしている人に刺さる本だと思います。自分の感覚を守るために、一度読んでおくと心の余白が変わります。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
読書の順序
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