
恋文の技術 (ポプラ文庫 日本文学)
森見登美彦
ポプラ社 / 2011-04-01
累計読者数3
平均ハイライト数 49件/人
推定読了時間 約3時間53分
star総合評価 67/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 26%
この本について
なんとなく毎日をやり過ごしていると、ふとした瞬間に「このまま流されていくのかな」と不安になることがあります。頑張りたい気持ちはあるのに、未来を思うほど灰色に見えたり、かといって今いる場所に満足しているわけでもない。抜け出したいけど、抜け出すほどの力もない。そんな宙ぶらりんな時間って、案外長く続きます。 森見登美彦『恋文の技術』を読んでいて、刺さっている人が多い抜粋を見ると、この本は“もがきながら前に進もうとする自分を、ちょっと笑いながら肯定してくれる”ところが効いているんだと思います。たとえば「夏休みの醍醐味は、その終焉にあり」という妙な達観や、「こんな俺は俺ではない」と自分の不甲斐なさに苛立つ葛藤、「だんだん自分の過去も未来も灰色になる」といった停滞感。どれも深刻さはあるのに、どこか可笑しみがあって、自分だけじゃないと肩の力が抜けます。 物語自体は手紙の連鎖で進んでいくのですが、そこで描かれるのは立派な成長ではなく、もっと地味で等身大の迷いです。将来への不安からクラゲ研究に逃げ込んだり、和倉温泉で清潔感を磨こうとして空回りしたり、秋のメランコリックを「たしなみ」と言い聞かせたり。そういう一つひとつの足踏みが、読む側の自分の足踏みと自然に重なっていきます。 うまくいっていない自分を笑い飛ばせる余裕がほしい人に、とてもよく刺さる一冊です。
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出版社による紹介
京都の大学院から、遠く離れた実験所に飛ばされた男が一人。無聊を慰めるべく、文通修業と称して京都に住むかつての仲間たちに手紙を書きまくる。文中で友人の恋の相談に乗り、妹に説教を垂れるが、本当に想いを届けたい相手への手紙は、いつまでも書けずにいるのだった。
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