
太平洋戦争への道 1931-1941 (NHK出版新書)
半藤 一利, 加藤 陽子, and 保阪 正康
NHK出版 / 2021-07
この本について
仕事でもニュースでも、「なんでこんな判断になるんだろう」と腑に落ちない場面ってありますよね。自分の職場でも、合理的に考えれば別の道があったはずなのに、空気や組織の力学で流されていく……ああいう感じの正体がつかめずにモヤモヤしている人は多いと思います。僕もその一人です。 この本を読んで強く感じたのは、昭和初期の日本がまさにその“空気に押し流される組織”の極端な例だったということです。二・二六事件で財政を引き締めようとした人が暴力で排除され、言論は「不穏文書」という名目で封じられ、穏健派の意見が組織の中で消えていく。その積み重ねが、満州事変から国際連盟脱退、日中戦争の泥沼化、さらには対米開戦へ至る「後戻りできない空気」をつくっていく流れとして描かれていて、歴史の話というより現代の組織の問題と地続きに感じました。 特に刺さったのは、和平のチャンスがあったのに誰も止められなかった構造と、「私はいいが、下が納得しない」という恐怖が意思決定をゆがめていく場面です。強硬派を首相に据えることで逆に戦争を回避できると思ったが、国際的には真逆のサインになった…という認識のズレも、いまの対外コミュニケーションと通じるものがあります。 歴史を知るというより、「組織が道を誤るとき何が起きるのか」を実感したい人に向いている一冊だと思います。僕自身、この本を読んでようやく、日々の小さな違和感に名前をつけられた感覚がありました。
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