
ケアの倫理とエンパワメント
小川公代
青弓社 / 20240418
この本について
最近、「正しいこと」をしようとした結果、誰かを追い詰めてしまった気がして落ち込むことがあります。あるいは、他人の痛みを想像しようとしても、自分の立場や育ってきた環境が邪魔をして、うまく寄り添えない感覚。善意のつもりが独りよがりだったのでは…と不安になるあの感じです。 『ケアの倫理とエンパワメント』は、そのモヤモヤに真正面から向き合ってくれる本でした。たとえば「過剰な善が暴力になる」という議論は、自分の“正しさ”への執着がどんなふうに他者の声を奪うかを静かに振り返らせてくれます。また、想像力を弱さではなく「他者の内側に入り込むための力」として捉え直す視点も印象的でした。理屈で割り切れない“その場に留まる力”としてのネガティブ・ケイパビリティの説明も、焦る癖のある自分にはかなり効きました。 さらに心に残ったのは、「条件なしに誰かを気にかける」というケアの考え方です。役に立つからでも、善人だからでもなく、その人が“いる”という事実だけを理由に関わるという感覚。損得や序列が前提になりがちな日常からは見えにくい視点で、少し呼吸が楽になります。 自分の正義の輪郭が固まりすぎて息苦しさを覚えている人や、誰かに寄り添いたいのに言葉がうまく見つからない人には、とても静かに刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの43%が集中しています。
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