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ケアの倫理とエンパワメント

ケアの倫理とエンパワメント

小川公代

青弓社 / 20240418

累計読者数10
平均ハイライト数 17.4件/人
推定読了時間 約4時間25分
star総合評価 50/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 16%

この本について

最近、「正しいこと」をしようとした結果、誰かを追い詰めてしまった気がして落ち込むことがあります。あるいは、他人の痛みを想像しようとしても、自分の立場や育ってきた環境が邪魔をして、うまく寄り添えない感覚。善意のつもりが独りよがりだったのでは…と不安になるあの感じです。 『ケアの倫理とエンパワメント』は、そのモヤモヤに真正面から向き合ってくれる本でした。たとえば「過剰な善が暴力になる」という議論は、自分の“正しさ”への執着がどんなふうに他者の声を奪うかを静かに振り返らせてくれます。また、想像力を弱さではなく「他者の内側に入り込むための力」として捉え直す視点も印象的でした。理屈で割り切れない“その場に留まる力”としてのネガティブ・ケイパビリティの説明も、焦る癖のある自分にはかなり効きました。 さらに心に残ったのは、「条件なしに誰かを気にかける」というケアの考え方です。役に立つからでも、善人だからでもなく、その人が“いる”という事実だけを理由に関わるという感覚。損得や序列が前提になりがちな日常からは見えにくい視点で、少し呼吸が楽になります。 自分の正義の輪郭が固まりすぎて息苦しさを覚えている人や、誰かに寄り添いたいのに言葉がうまく見つからない人には、とても静かに刺さる一冊だと思います。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

病院内の小さなスタジオから放送するホスピタルラジオ。ボランティアが制作を担当し、患者がベッドサイドで耳を傾け、医療従事者やリスナー同士のコミュニケーションも促進する「ケアする声」の実践を、発祥地イギリスと日本国内の事例で詳細に紹介する。

目次

序 章 ケアするラジオ  1 閉鎖空間としての病院  2 ホスピタルラジオとの出合い  3 話題になった『病院ラジオ』――サンドウィッチマンと病棟の人たち  4 ケアの倫理  5 ケアのコミュニケーション  6 ホスピタルラジオ研究の射程  7 ケアメディアとしてのラジオと声のコンテンツ  8 本書の構成 第1章 「声のコンテンツ」を介したコミュニケーション  1 寄り添う音声――孤独の緩和、充実した一人の時間  2 想像される他者の世界  3 音でデザインする生活――社会とつながる音声のコミュニケーション  4 パーソナリティーとリスナーのパラソーシャルな関係  5 「承認」のコミュニケーション  6 ラジオとコミュニティ  7 リクエストとメッセージ  8 「声」の共生に向けて 第2章 イギリスでのホスピタルラジオの歴史――放送空間を自作する快楽  1 イギリスのラジオ放送の誕生  2 第二次世界大戦後のホスピタルラジオ  3 ケーブルラジオとホスピタルラジオ  4 ホスピタルラジオ・サウザンプトンの歴史  5 ヨーロッパの自由ラジオ  6 新たな聴取システム――Patient LineとHospedia  7 ケアされるのは誰か 第3章 イギリスのホスピタルラジオの現在  1 ホスピタルラジオの運営  2 ホスピタルラジオの効能  3 病院と地域をつなげるラジオ――ウィンチェスター・ラジオの挑戦  4 イギリスホスピタルラジオのこれから 第4章 病院ラジオを立ち上げる――藤田医科大学「フジタイム」を例に  1 院内ラジオ「フジタイム」の誕生  2 「フジタイム」の三年間  3 病院にとっての効果  4 患者とのコミュニケーション  5 日本の院内ラジオの可能性と課題 第5章 孤立を防ぐ小さなラジオ――二つの実践から  1 高齢者施設での実験ラジオ  2 「語る」というケアのかたち――生きづらさを伝えるコミュニティラジオ  3 ケアするコミュニティFM構想 第6章 声のコンテンツとケア  1 〈対話〉という根源的ケアの重要性  2 応答という「救済」――ナースコールとしてのホスピタルラジオ  3 リクエスト――見えない他者との連帯  4 メッセージ――未来に向けたセルフ・ナラティブの構築  5 新たな自己物語を構築するための〈対話〉  6 ケアしあうナラティブ  7 ケアされるボランティア  8 第三者による社会的処方――非職業・非家族としてのケア 終 章 再び、これからのラジオ
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