
死にたくなったら電話して (河出文庫)
李龍徳
河出書房新社 / 2014-11-21
この本について
気持ちが沈んでいるときに、自分の中の黒い感情が妙に整理されてしまう瞬間ってありませんか。人から見ればちょっと極端すぎる考え方でも、そのときの自分には妙にしっくりくる…みたいな。分かってはいるけど、そこから抜け出す糸口が見えないまま、気づいたら同じ思考のループにはまっていることもあると思います。 『死にたくなったら電話して』は、そういう「ループの中の声」を、ここまで容赦なく、正直なまま描くのか…と驚く小説でした。抜粋を見れば分かる通り、登場人物の言葉はどれも極端で、歪んでいて、それでいて妙にリアルです。読んでいて心地よいタイプの作品ではありません。でも、この極端さの中に、自分の中の“見ないようにしていた部分”を逆に冷静に見せられる瞬間があるんです。 例えば、 ・「最悪の未来ばかり想像して勝手に絶望するクセ」に気づかされること。 ・「劣等感や嫉妬を、もっともらしい理屈で飾ってしまう自分」への苦笑い。 ・「どうせ無理だし」と諦めることで安心しようとする心理の危うさ。 どれも大事な教訓というより、“こういう思考に自分も触れたことあるな”と気づくための鏡のように機能します。 華やかな成長物語ではなく、どちらかといえば「負の方向に触れることで、逆に落ち着くタイプ」の読書体験です。無理に前向きにならなくていいけど、このまま沈み込むのも違う…そんな曖昧な場所にいる人には刺さると思います。 綺麗ごとはほとんど出てきません。ただ、現実にうんざりしているとき、「こういう限界まで振り切れた視点に触れると、自分はまだ大丈夫かも」と少しだけ距離を持てることがあります。その“距離”をつくるための一冊として位置づけたい作品です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの16%が集中しています。
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