
イベルメクチン 新型コロナ治療の救世主になり得るのか (河出新書)
大村智
河出書房新社 / 2021-12-01
この本について
コロナの数年を通して、「あの薬って結局どうだったんだろう…」みたいな小さなひっかかりが、ずっと胸のどこかに残っている人は多いと思います。専門家の意見も時期によって揺れましたし、ニュースも断片的で、結局どこまでが確かな話なのか分からないまま時間だけが過ぎた、という感覚は僕自身にもあります。 この本は、イベルメクチンを“効く・効かない”で一刀両断するものではありません。むしろ読者が保存していた部分からも分かるように、著者がどのような背景でこの薬を見てきたのか、動物実験や各国の調査など、当時どんなデータが集められ、どんな議論が起きていたのかを立体的に知れるところに価値があります。調剤件数の推移や、国際的な研究グループの動きなど、数字や事実の流れで振り返れるので、「なぜあの時ああいう話題になったのか」が落ち着いて整理されていきます。 読みながら感じたのは、コロナ期に抱えていた不安や曖昧さに、後からゆっくり輪郭を与えてくれる本だということです。薬の有効性を断定するものではないですが、少なくとも「当時そう判断された理由」や「どんな実験が行われていたのか」がわかると、自分の中の混乱が少し整う気がします。医療リテラシーというと大げさですが、曖昧な情報の海に振り回されないための“視点の持ち方”を取り戻す感覚に近いです。 コロナ期の空気をちゃんと振り返りたい人や、医薬の議論がどう組み立てられていくのか気になる人には刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの32%が集中しています。
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