
神社とは何か (講談社現代新書)
新谷尚紀
講談社 / 2021-12-15
この本について
神社って、行けばなんとなく落ち着くのに、「そもそも何を拝んでいるんだろう?」というところになると急に言葉にしづらくなるんですよね。自分も長くそういうモヤモヤを抱えていて、由緒や神話を読んでも逆に霧が濃くなる感じがしていました。この本は、その霧の一部をゆっくり晴らしてくれた一冊でした。 面白かったのは、いまの神社のかたちが最初からあったわけではなく、巨岩に神が宿ると感じていた時代の磐座祭祀や、天から神が来臨すると考えていた禁足地の感覚が土台にあり、そこへ「やしろ」や「みや」といった建物の感覚が重なっていく……という、長い時間の流れが自然に見えてくるところです。読者が保存している抜粋にもありますが、鏡や剣を奉献していた時代の祭祀が、のちの伊勢神宮の神鏡へつながっていく感じは、点が線になるようで妙に腑に落ちました。 もう一つおもしろいのは、「大きな神」と「小さな神」という、古代の人びとの実感に近い神の捉え方です。遠いところから来て災いを鎮めて去っていく大きな神と、こちらの生活圏にずっといて、ときに迷惑をかけてくる小さな神。その二層構造で見ていくと、八幡や出雲、諏訪のように複雑な由来をもつ神社も、ただの「歴史の断片」ではなく、そこで暮らしていた人の気配の延長として理解できるようになります。 神社に対してなんとなく距離がある人や、「歴史を知ってもピンとこない」という人ほど、静かに効いてくる内容です。自分の中の違和感に形を与えてくれる、そんな本でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの43%が集中しています。
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