
英文法を哲学する
佐藤 良明
アルク / 2022-01-26
この本について
英語を読んでいると、「will=未来」「would=過去の習慣」といったお決まりの説明にどうしても引っかかってしまうことがあります。頭では理解しているつもりでも、実際の英文に触れた瞬間に、説明と用法のズレがふっと顔を出す。自分の感覚と教科書の世界がうまく噛み合わない、あのモヤッとした感じです。 『英文法を哲学する』は、その違和感を無理やり押しつぶすのではなく、「なぜそう感じるのか」を丁寧に掘り起こしてくれます。たとえば、will が本来もっていた“天に対する意志”の感覚や、would が「過去形」でもあり「逡巡の表現」でもあるという揺れ。その背景にある英語圏の身体性や文化の流れまでセットで見せてくれるので、単なる知識ではなく、使うときの感触が少しずつ変わっていきます。文法項目を増やすというより、英語という動的なシステムに自分の身をどう馴染ませるか、という姿勢に切り替わる感じです。 もうひとつ大きかったのは、文の「構造」を固定の箱として扱わず、句や節がどう組み上がるかを、身体の動きのように捉える視点でした。前置詞を付けるだけで名詞が別の役割を帯びる、といった感覚的な転換が、読み書きのときの負荷を確実に減らしてくれます。文法が“硬いルール”ではなく、動きのある仕組みとして理解できるようになると、英文に向かうときの肩の力が自然と抜けます。 「will と would の感覚が最後まであいまい」「文の構造を覚えても実践でうまく使えない」という人には、とても静かに効く本だと思います。
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