
オードリー・タンが語るデジタル民主主義 (NHK出版新書)
大野 和基
この本について
政治とか行政の話って、「結局、声の大きい人だけが得するんじゃないか」と感じることが多いですよね。自分が何か言ったところで届かないし、制度は変わらないし、そもそも仕組みが複雑すぎて関われる気もしない。その無力感みたいなもの、僕もずっと抱えていました。 この本は、その“届かなさ”にちょっと風穴を開けてくれます。台湾では若者も在留外国人も、ネットを使って政策に意見を出せたり、政府がホットラインで質問を受けて翌日に会見で答えていたり、行政の反応が数十日のサイクルで具体的に返ってきたりする。しかも「テクノロジーに人を合わせるんじゃなくて、人に合わせる形でテクノロジーを使う」という視点が徹底されているのが印象的でした。参加の間口を広げるって、複雑な仕組みを押し付けることじゃなくて、小さな声を拾う仕掛けを増やすことなんだと腑に落ちます。 読んでいて、民主主義を大きな理念として扱うんじゃなくて、“改善可能な技術としてメンテしていくもの”と捉える姿勢がすごく現実的だなと思いました。ブロードバンドを人権のように扱う理由とか、オープンデータを編集せず公開することで逆にリスクを減らす話とか、テクノロジーの導入を目的化していないところが、妙に生活感があるんですよね。 「自分の意見が社会に届く実感を持てない人」には特に刺さると思います。大げさな理想論じゃなくて、日常の延長線で社会の仕組みを変えていくとはどういうことか。そんな問いに静かに答えてくれる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの46%が集中しています。
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