
ともに生きるための演劇 NHK出版 学びのきほん
平田 オリザ
この本について
人と話していて「なんでこんなに噛み合わないんだろう…」とか、会議で意見を言おうとすると急に言葉が詰まる、そんなモヤモヤってありますよね。相手を否定したいわけじゃないのに、どう距離を取ればいいのか分からない。かといって、ただ肯定して流すだけだと、あとで自分が置いていかれたような感覚だけが残る。僕もずっとこのあたりでつまずいてきました。 『ともに生きるための演劇』は、その行き詰まりにちょっと違う角度の光を当ててくれる本でした。特に刺さったのは、「コンテクストのずれは常にある」という前提で人に向き合う、という視点です。わかりあおうと力むのではなく、そもそも土台が違うからズレる、というところから始める。そのうえで「相手の文脈で説明する力」を少しずつ育てていく。この発想だけでも、日常の会話のしんどさがだいぶ軽くなりました。 もうひとつは、会話の“冗長さ”に関する話。親しい人との会話ほど実は無駄が少ないという指摘は、仕事のコミュニケーションを振り返るきっかけになりました。相手との距離が近い前提で話していないか、情報を省きすぎていないか。こういう細部の意識が、誤解や衝突を減らすんだろうなと実感しています。 人間関係で「説明しすぎても疲れるし、察してほしいと思う自分もいる」と揺れている人に、静かに効いてくる本です。演劇の本と聞くと距離を感じるかもしれませんが、扱っているのはほとんど日常のコミュニケーションのこと。その解像度が少しだけ上がるだけで、人との関わり方がちょっと楽になります。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの15%が集中しています。
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