
なぜ少子化は止められないのか (日経プレミアシリーズ)
藤波 匠
日経BP / 2023-05-10
この本について
最近、少子化のニュースを見るたびに「根っこはどこなんだろう」と考え込んでしまうことが増えました。結婚したくても踏み出せないとか、子どもを望んでも生活が追いつかないとか、そういう個人の悩みと、国全体の数字がどうつながっているのかが見えにくいまま、なんとなく不安だけが積み上がっていく感じがあります。 この本を読んで驚いたのは、今の少子化が“若い世代の選択”だけでは説明できないという点でした。たとえば、長く続いた低成長で若い世代の賃金が落ち込み、結婚や出産に踏み出す力がそもそも削られてきたこと。さらに、東京一極集中が若者の移動を固定化し、婚期が遅れやすい環境を強めてしまっていること。あるいは、有配偶出生率そのものが2016年以降に下がり、第1子に到達する前に諦めざるを得ない人が増えていること。ひとつひとつの点が、抜粋を読むだけでも刺さる人は相当多いはずです。 読んでみて感じたのは「少子化の正体って“個人の努力不足”じゃなかったんだな」という視点の変化でした。賃金が上がらないのに期待だけは押し付けられてきたこと、地域政策が若者の生活と微妙に噛み合ってこなかったこと、そして結婚したくても環境的にできない人が確実に増えていることなど、モヤモヤしていた断片が一本の線につながっていきます。 数字や制度の話が多い本ですが、生活の実感と結びつくので、読み終えるころには「自分が感じていた違和感の正体はこれだった」とスッと整理されるはずです。今の少子化を“自分ごと”として理解したい人に、とても刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの24%が集中しています。
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