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アリアドネの声 (幻冬舎単行本)

アリアドネの声 (幻冬舎単行本)

井上真偽

幻冬舎 / 2023-06-21

累計読者数34
平均ハイライト数 5.1件/人
推定読了時間 約3時間42分
star総合評価 53/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 51%

この本について

最近、頑張り方の正解がわからなくなる瞬間が増えました。無理を押して前に進むべきなのか、それとも一度止まっていいのか。その判断を他人の基準に合わせてしまいがちで、あとから「あれ、自分のためになってた?」と不安になることがあります。 『アリアドネの声』を読んでいて印象的だったのは、この“線引き”を他人に委ねない姿勢でした。盲ろう者の女性たちが、自分に届く方法で世界を理解し、〈無理〉と〈できる〉の境界を自分の感覚で確かめていく描写が何度も出てきます。たとえば、点字カードに触れた瞬間に一気に世界がつながる場面や、「無理は信号だ」という言葉の背景にある、身体と経験への静かな信頼。これらは決して“前向きであれ”と迫ってくるものではなく、自分の速度で選び直すことの大切さを淡々と示してくれます。 同時に、災害現場でのサイレントタイムや地下空間の探索など、極限状況での人と技術の関わり方も丁寧に描かれます。視覚や聴覚が奪われた暗闇に立つ主人公が、「これが彼女の世界なのだ」と思い至る場面には、他者の感覚世界を想像することの難しさと、それでも橋をかけようとする人間のしぶとさがありました。 他人の“頑張り”を基準にしてしまってしんどくなる人、自分の限界ラインを引くのが苦手な人に、静かに効いてくる物語だと思います。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

巨大地震発生。地下に取り残された女性は、目が見えず、耳も聞こえない。 光も音も届かない絶対的迷宮。 生還不能まで6時間。 想像の限界を超えるどんでん返し。 救えるはずの事故で兄を亡くした青年・ハルオは、贖罪の気持ちから救助災害ドローンを製作するベンチャー企業に就職する。業務の一環で訪れた、障がい者支援都市「WANOKUNI」で、巨大地震に遭遇。ほとんどの人間が避難する中、一人の女性が地下の危険地帯に取り残されてしまう。それは「見えない、聞こえない、話せない」という三つの障がいを抱え、街のアイドル(象徴)して活動する中川博美だった――。 崩落と浸水で救助隊の侵入は不可能。およそ6時間後には安全地帯への経路も断たれてしまう。ハルオは一台のドローンを使って、目も耳も利かない中川をシェルターへ誘導するという前代未聞のミッションに挑む。
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