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可燃物 (文春e-book)

可燃物 (文春e-book)

米澤 穂信

文藝春秋 / 2023-07-25

累計読者数4
平均ハイライト数 24.3件/人
推定読了時間 約3時間41分
star総合評価 67/100
menu_book精読型
check_circle推定完走率 52%

この本について

仕事でも日常でも、「なんとなく違和感があるのに言語化できない」とか、「直感はあるのに証拠がなくて動けない」といった場面ってありますよね。頭では慎重でいたいのに、心のどこかでざらつきが残る感じ。僕自身、そのグレーな時間がいちばん疲れるタイプです。 米澤穂信『可燃物』を読んで感じたのは、その“判断に迷う瞬間”を丁寧に拾い上げてくれる物語だということです。抜粋を見ても、葛という刑事が直感を頼りつつも、観察と検証を積み重ねながら一歩ずつ疑いを確かめていく姿が印象的です。直感を鵜呑みにするのでも、逆に切り捨てるのでもなく、そのあいだで粘る。その姿勢が、日常の小さな違和感への向き合い方にも重なる気がしました。また、工事用信号や骨の部位など、細かな事実から少しずつ状況を立て直していく描写が続くので、「情報が揃わなくても前に進める方法」が自然と見えてきます。 もう一つ、この本には“人の表情をどう読み取るか”というテーマも静かに流れています。疲れきった目をした人、無感動を装っている人、髪で傷を隠している人。表面的な言動だけで判断せず、そこに別の物語があることを思い出させてくれる。これは対人関係で迷うときにも、妙に効く視点でした。 「違和感を無視せず、でも決めつけにも走れない」という人に特に響く一冊だと思います。物語として楽しみながら、自分の“観察する姿勢”が少しだけ整うような読後感でした。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

米澤穂信、初の警察ミステリ! 二度のミステリーランキング3冠(『満願』『王とサーカス』)と、『黒牢城』では史上初のミステリーランキング4冠を達成した米澤穂信さんが、ついに警察を舞台にした本格ミステリに乗り出しました。 余計なことは喋らない。上司から疎まれる。部下にもよい上司とは思われていない。しかし、捜査能力は卓越している。葛警部だけに見えている世界がある。 群馬県警を舞台にした新たなミステリーシリーズ始動。 群馬県警利根警察署に入った遭難の一報。現場となったスキー場に捜査員が赴くと、そこには頸動脈を刺され失血死した男性の遺体があった。犯人は一緒に遭難していた男とほぼ特定できるが、凶器が見つからない。その場所は崖の下で、しかも二人の回りの雪は踏み荒らされていず、凶器を処分することは不可能だった。犯人は何を使って“刺殺”したのか?(「崖の下」) 榛名山麓の〈きすげ回廊〉で右上腕が発見されたことを皮切りに明らかになったばらばら遺体遺棄事件。単に遺体を隠すためなら、遊歩道から見える位置に右上腕を捨てるはずはない。なぜ、犯人は死体を切り刻んだのか? (「命の恩」) 太田市の住宅街で連続放火事件が発生した。県警葛班が捜査に当てられるが、容疑者を絞り込めないうちに、犯行がぴたりと止まってしまう。犯行の動機は何か? なぜ放火は止まったのか? 犯人の姿が像を結ばず捜査は行き詰まるかに見えたが……(「可燃物」) 連続放火事件の“見えざる共通項”を探り出す表題作を始め、葛警部の鮮やかな推理が光る5編。
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