
きのうのオレンジ (集英社文庫)
藤岡陽子
累計読者数3
平均ハイライト数 6.3件/人
star総合評価 55/100
trending_up後半加速型
check_circle推定完走率 87%
この本について
最近、人に頼るのが怖いとか、弱っている姿をどう扱えばいいのか分からないまま、日常だけは過ぎていく……そんな感覚を抱えている人、多いと思います。自分も「迷惑をかけたくない」と突っ張りながら、結局どこに気持ちを置けばいいのか分からなくなる時があります。 『きのうのオレンジ』は、その行き場のない気持ちをまっすぐ描いてくれる物語でした。誰かに甘えることへの情けなさや、疲れをリセットできない日の重さ、言葉にしづらいやるせなさ。そのどれもを無理に肯定したり励ましたりせず、「こういう瞬間って確かにあるよな」と寄り添ってくれる感じがあります。特に、遼賀が自分の無力さに沈みながらも、それでも何かを探そうと足を動かす場面は、自分の生活の中にも同じような瞬間があるなと思い知らされました。 そしてこの作品が静かに効いてくるのは、弱さそのものを dramatize しないところです。疲れているときは風呂に入って寝るしかない、気を遣われすぎるとどうしていいか分からなくなる、頑張りすぎんなという伝言。どれも特別な言葉じゃないのに、自分の生活にそのまま持ち帰れる現実味があります。生きるとか死ぬとかを大げさに語るのではなく、「人はこうやって誰かと影響を与え合いながら生きていくんだな」と自然に思わせてくれるのが、この本の良さだと思いました。 人に頼ることや弱さの扱い方に迷っている人に、静かに刺さる一冊です。
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多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの40%が集中しています。
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出版社による紹介
「弱音を吐かない人は、いつだってひとりで闘っている」 がん宣告を受けたと、彼を支えるの物語。 心揺さぶられる感動長編。 笹本遼賀、33歳。都内のレストランで働きながら、人並みに、真面目に生きてきた。だが、胃の不調で受けた検査は予想外の結果――がんだった。どうして自分が? 絶望に襲われた時、弟の恭平から荷物が届く。それは遼賀が15歳の頃、故郷の山で遭難した時に履いていたオレンジ色の登山靴で......。「おれはまだ生きたい」懸命に前を向く遼賀と、彼を支える家族を通して誠実に“生”と向き合った傑作長編。 【著者略歴】 藤岡陽子(ふじおか・ようこ) 1971年京都府生まれ。同志社大学文学部卒業。報知新聞社を経て、タンザニア・ダルエスサラーム大学留学。慈恵看護専門学校卒業。2006年「結い言」が、宮本輝氏選考の北日本文学賞の選奨を受ける。09年『いつまでも白い羽根』でデビュー。著書に『手のひらの音符』『晴れたらいいね』『おしょりん』『満天のゴール』『跳べ、暁!』『金の角持つ子供たち』などがある。現在は、京都の脳外科クリニックに勤めている。
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