
ファラオの密室
白川尚史
宝島社 / 2025-04-03
この本について
人の悩みって、表面のトラブルよりも、その奥にある「どこで心が傷ついたのか」のほうが厄介だったりしますよね。仕事でも人間関係でも、外から見える傷はふさがっているのに、なぜか気持ちだけが置き去りになるというか。自分でも説明しづらいモヤモヤを抱えたまま、日々を続けている感覚がある人は多いと思います。 『ファラオの密室』の抜粋で、多くの人が手を止めたのは「怪我は治るけれど、魂は別だ」という一言でした。治療や助言がすぐに効くわけじゃない現実をちゃんと描いていて、登場人物たちが大げさに救われるわけでもないんです。でも、その不完全さの中で誰かが誰かを気にかける場面が、妙に現実に近い温度をもって届く。エジプトという異世界的な舞台なのに、川が現世と冥界の境界線として描かれる感覚や、寂寞や冒瀆といった言葉が放つ湿度によって、むしろ自分の心の動きが浮き上がるところがあります。 この物語が効くのは、問題を一気に解決したい人ではなく、「すぐには割り切れない気持ちを抱えたまま進むしかない時間」を知っている人です。登場人物のやり取りの中に、自分が誰かを気にかけた日のことや、逆に気にかけてもらったことを思い出せる瞬間がある。物語としてのおもしろさとは別に、自分の内側の重さを静かに整理してくれる一冊でした。 こんな人に刺さる: 感情の縫合はいつも自分のペースでしかできない、と感じている人。
読書インサイト
ハイライト密度
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