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風に舞いあがるビニールシート (文春文庫)

風に舞いあがるビニールシート (文春文庫)

森 絵都

文藝春秋 / 2009-04-10

累計読者数4
平均ハイライト数 3件/人
推定読了時間 約3時間55分
star総合評価 51/100
trending_up後半加速型
check_circle推定完走率 87%

この本について

なんとなく「もうこれ以上どうにもならないな」と思う瞬間ってありますよね。人間関係でも仕事でも、悪化する予感ばかりに疲れて、気づけば感情の置き場をなくしてしまう。私もそういう時期に、この本を読むと言葉にならない部分を代わりに拾ってもらえたような感覚がありました。 森絵都さんの『風に舞いあがるビニールシート』は、劇的に救ってくれるタイプの物語ではないです。でも、登場人物たちが抱えている「誰にも説明しきれない大切なもの」が、そのままの形で置かれている。たとえば、最悪の状況の中にかすかな安らぎを見つけてしまう弱さとか、愛しきれなかった日々の記憶にいまだ縛られてしまう自分へのとまどいとか、相手との距離を確かめたくて思わず手を伸ばしてしまう衝動とか。読者が保存した抜粋を見ても、そういう“誰にも言っていないけれど自分には刺さる部分”に反応しているのが伝わってきます。 この本が効くのは、無理に前向きにならなくていいところです。大切なものが人それぞれ違うように、向き合い方も違う。だからこそ、彼らの揺れ方を追っていると、「自分の揺れ方を否定しなくていいんだ」と少しだけ呼吸が楽になる。もうひとつは、忘れていくことへの恐怖や、手放せない記憶の重さを、そのままの質量で描いてくれるところ。誰かを思い続けることの痛みと温度を、誤魔化さずに扱っているのが救いになります。 こんな人に刺さると思います。強がりのまま日々を続けているけれど、本当は誰かとの距離や記憶の重さにまだ立ち止まってしまう人。私自身もその一人でした。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

あたたかくて力強い、第135回直木賞受賞作。 才能豊かなパティシエの気まぐれに奔走させられたり、犬のボランティアのために水商売のバイトをしたり、難民を保護し支援する国連機関で夫婦の愛のあり方に苦しんだり……。 自分だけの価値観を守って、お金よりも大事な何かのために懸命に努力し、近づこうと頑張って生きる人たちを描いた6編を収録。 解説・藤田香織 ※この電子書籍は2006年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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