ヨムナビ
水中都市・デンドロカカリヤ(新潮文庫)

水中都市・デンドロカカリヤ(新潮文庫)

安部公房

新潮社 / 1973-08-01

累計読者数3
平均ハイライト数 5.7件/人
推定読了時間 約3時間30分
star総合評価 42/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 31%

この本について

ときどき、自分が社会のどこに立っているのか分からなくなる瞬間があります。誰かと会話するだけで摩耗したり、沈黙のほうが正直だと思えたり、気づけば「本当の自分」がどこかへ沈んでいくような感覚になることがあると思います。そういうときに安部公房の『水中都市・デンドロカカリヤ』を読むと、現実の輪郭がいつもと違う見え方をしてきます。 この本の不思議さは、奇妙な変形や現実のねじれが、実際には僕らの日常で感じているモヤモヤをそのまま外側に引きずり出したように描かれているところです。たとえば、環境に合わせて皮膚の色が変わってしまう病の話は、人に合わせすぎて自分の境界がぼやけていくあの疲れに近いし、沈黙を守る描写には「関われば相手を認めることになる」という、対人の微妙な駆け引きがそのまま刻まれています。さらに、水中に沈んだ風景を眺める場面では、うまく役割を演じられない自分への苛立ちや空虚さが、そのまま景色として立ち上がってきます。 物語として読むというより、自分の内部の歪みをいったん外側に置いて観察できる一冊です。特に「人に合わせすぎて溶けてしまいそうだ」と感じている人には、妙に刺さると思います。奇妙さに身をゆだねているうちに、自分の輪郭を少し遠くから見直せるようになる、そんな読書体験でした。

analytics

読書インサイト

ハイライト密度

開始終了

多くの読者は3に最もインサイトを感じており、全ハイライトの31%が集中しています。

読書の順序

この本に似ている本

すべて見る arrow_right_alt

安部公房の他の作品

すべて見る arrow_right_alt
書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

ある日突然現われた父親と名のる男が、奇怪な魚に生れ変り、それまで何の変哲も無かった街が水中の世界に変ってゆく「水中都市」、コモン君が、見馴れぬ植物になる話「デンドロカカリヤ」。安部短編作品の頂点をなす表題二作に、戯曲「友達」の原型となった「闖入者」や「飢えた皮膚」など、寓意とユーモアあふれる文体の内に人間存在の不安感を浮び上がらせた初期短編11編を収録。(解説・ドナルド・キーン)
library_books似た本をもっと見るmap書籍マップで探すroute読書パスガイドauto_awesomeAI診断で次の1冊を探す

読んだ内容を、もう忘れない。

BookNotion Zなら、Kindleのハイライトを自動で保存・整理。Notionにエクスポートして、いつでも振り返れます。

無料ではじめる

クレジットカード不要