
カフネ
阿部暁子
講談社 / 2024-05-22
この本について
忙しさに押しつぶされそうなときって、自分がどれだけ疲れているかもよくわからなくなる瞬間がありますよね。家族や仕事のために動き続けて、気づけば「自分は何を望んでいたんだっけ」と立ち止まってしまう。誰かを思う気持ちが、いつのまにか重さや罪悪感に変わってしまうこともあると思います。 『カフネ』を読んでいて刺さったのは、人が限界に近づいたときの不器用さや、言葉にできない優しさが淡々と描かれているところでした。助けを求めるのが下手な人が倒れる直前まで頑張ってしまうこと。家族だからこそ誤解が積み重なり、本当に大事なことが伝わらないままになってしまうこと。そして、誰かに作った一皿の料理が、その人を生かし続ける力になるような小さな場面。その積み重ねが、こちらの心にも静かに染みてくる感じがありました。 この物語は「前向きになれ」と背中を押してくるタイプではなく、むしろ心の奥で絡まっていたものをほどくように、ゆっくりと視点を変えてくれます。自分の限界を認めることが逃げではないこと。他人の痛みを勝手に代弁しないほうが、むしろ関係は壊れにくいこと。そして、自分の人生の使い道は自分しか決められないという、当たり前なのに忘れがちな感覚を思い出させてくれます。 家族との距離感に悩んでいる人や、人の期待に応え続けてしんどくなっている人には、特に深く刺さる物語だと思います。無理に答えを出さなくてもいいんだと、少し呼吸がしやすくなる本でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの23%が集中しています。
読書の順序
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