
ファミレス 下 (角川文庫)
重松 清
KADOKAWA / 2016-05-25
この本について
家族のことを思うと、つい頑張りすぎてしまうときがありますよね。自分では「良かれ」と思っていても、気づけば空回りしていたり、相手との距離がうまく取れなかったり。年齢を重ねるほど、どこまで背負えばよくて、どこから手放せばいいのか、その加減がわからなくなる瞬間が増える気がします。 『ファミレス 下』を読んでいて感じたのは、作者がそこをやさしく、でも誤魔化さずに描いていることでした。家族をサウナにたとえて「熱さに耐えることが偉いわけじゃない」と言う場面は、無理を美徳にしがちな人には痛いほど刺さりますし、「生活」と「人生」を分けて考えるひなたちゃんの言葉は、目の前のやりくりに追われていると忘れがちな視点を思い出させてくれます。さらに、五十代の登場人物が“遠く”より“手元”を見るようになる描写は、人生の後半をどう歩くか迷っている人にじんわり効いてきます。 特別な何かを教えてくれるというより、登場人物たちが迷ったり立ち止まったりしながら、自分の核を確かめようとする姿に、自分の生活がそっと重なるんですよね。家族との距離の取り方、言葉の使い方、怒りや悲しみの扱い方…どれもきれいごとじゃないリアルさがあって、読みながら「ああ、そういうことか」と小さく姿勢を直したくなる場面がいくつもありました。 家族に関して「頑張りすぎてしまう人」や、「正しさより優しさの加減で悩んでいる人」に、とても静かに届く一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの30%が集中しています。
読書の順序
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