
枕草子 (光文社古典新訳文庫)
清 少納言 and 佐々木 和歌子
この本について
人間関係でちょっとした言葉の行き違いに落ち込んだり、季節の移ろいに理由もなく気分を持っていかれたり、他人の何気ない振る舞いにざらっとしたり。そういう、自分でも説明できないモヤモヤってありますよね。大人になってもなくならないし、むしろ細かくなる気すらします。 『枕草子』を読むと、そのモヤモヤが千年前からずっと続いているんだと気づかされます。たとえば、人の字が下手だと気になるとか、返事が来なくて萎えるとか、学識のない人ほど言いすぎるとか、若い夫を持つ女性の嫉妬を遠巻きに観察してしまうとか。清少納言は、自分の感じたことをそのまま書き残していて、決して“立派な結論”に導こうとしません。だからこそ、こちら側の小さな感情と自然に重なる瞬間が多いのだと思います。 そしてもう一つ、この本には「ものの見方がずれる面白さ」が詰まっています。たとえば、梨の花が日本ではつまらない扱いなのに唐では特別視されているとか、薄を見て自分の老いを思うとか、虫や鳥の鳴き声にまで物語を感じる視線とか。清少納言の観察は、今の私たちが見慣れすぎて見えなくなっているものを少しだけ揺すってくれます。仕事で煮詰まっているときでも、視点をずらすと世界は変わるんだなと思わせてくれる本です。 「自分の感情の細部に気づきたい人」には特に刺さるはずです。千年前の人のつぶやきなのに、どうしてこんなに今の生活に入り込んでくるんだろう、と静かに驚かされました。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの37%が集中しています。
読書の順序
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