
進化論はいかに進化したか(新潮選書)
更科功
新潮社 / 2019-01-25
この本について
仕事でも日常でも、「これって前より良くなってるのか? そもそも“良い”って何だ?」みたいなモヤモヤが続く時があります。努力しているはずなのに、どこに向かっているのかよく分からなくなる感じです。進化論の本なのに、このモヤモヤに真正面から効いてくるのが『進化論はいかに進化したか』でした。 読んでいてまず救われたのは、「進化=進歩」という固定観念をそっと外してくれるところです。走る速さを基準にすればイヌが優れていて、水中の適応ならコイが勝つ。つまり何を軸にするかで“良さ”は全く入れ替わるという話が、思っていた以上に自分の働き方にも重なりました。自分が勝手に決めた物差しで、必要以上に焦っていただけかもしれないと気づく瞬間があります。 もうひとつおもしろいのは、「進化は進んだり止まったりする」という考え方です。ずっと右肩上がりを目指していると、停滞の時期が不安になりますが、生物でも変化がほとんど起きない時期と急に動く時期があると知ると、停滞が“無意味な時間”に見えなくなるんですよね。むしろ次に動くための、谷底でじっとしている時期なのかもしれない。 そしてダーウィン自身の揺らぎや誤解されてきた歴史が丁寧に描かれていて、「正しい理解って一気に完成するものじゃない」という現実的な視点もくれます。完璧さを求めて疲れている人ほど、肩の力が抜ける本です。 価値観の物差しに振り回されがちな人に、静かに効く一冊だと思います。
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