
バトラー入門 (ちくま新書)
藤高和輝
筑摩書房 / 20240710
この本について
最近、「ジェンダーって結局なにを指してるのか…」「“私たち”って言葉がどうもしっくりこない」といった、言葉にしづらいモヤモヤを抱えている人と話す機会が増えました。自分の感じている違和感が、社会のどんな枠組みとつながっているのか分からないまま、なんとなく置き去りにしてしまうあの感じです。 『バトラー入門』は、そのモヤモヤの“位置”を静かに照らしてくれる本でした。バトラーの思想を理解するには哲学の知識よりも、当時のフェミニズムやセクシュアル・マイノリティが置かれていた文脈を知る方が大事だ、と著者は言います。まさにこの視点が、私たちが日常で感じる小さな違和感を、社会の規範との関係としてつかみ直す手がかりになるんだと思います。 読んでいて特に助けられたのは、「“私たち”は完璧には一つになれない」という指摘でした。連帯や共感を大事にしたい気持ちがある一方で、そこからこぼれ落ちる誰かの存在を忘れがちになることがあります。この本は、その緊張を“悪いこと”としてではなく、むしろ倫理的に向き合うべき前提として描き直してくれます。また、ブッチ/フェムの生きられたジェンダーの話のように、現実に存在している多様なあり方から考えることで、抽象的な議論が急に自分ごととして輪郭を持ちはじめます。 「自分の違和感の正体を、もう少し丁寧に言葉にしたい人」に刺さる本です。読んだあと、世界の“当たり前”を見る目がほんの少しだけ変わります。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの18%が集中しています。
読書の順序
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