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バルセロナで豆腐屋になった 定年後の「一身二生」奮闘記 (岩波新書)

バルセロナで豆腐屋になった 定年後の「一身二生」奮闘記 (岩波新書)

清水 建宇

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この本について

年を重ねるほど、「このまま同じ場所にいていいのか」とか「やりたいことはあるのに、一歩が踏み出せない」とか、そんな悩みがじわっと増えてきます。無謀な挑戦なんてできないし、かといって今の延長線だけで人生を閉じたくもない。その狭間で足が止まる感じ、すごく分かります。 この本は、そうした迷いに派手な答えをくれるわけではありません。ただ、著者が“豆腐が食べたいから豆腐屋になる”という、理由としてはあまりに素朴で、でも生き方としては驚くほど真っすぐな決断をしていく過程を見ていると、「一歩って、こういう質のものでもいいんだな」と肩の力が抜けます。移住先の文化や習慣に戸惑いながら、それでも豆腐に向き合い続ける日々が描かれていて、読んでいるうちに“正しさ”より“続けられる理由”のほうが大事なのかもしれないと思わされます。 特に印象に残ったのは、仕事を続ける理由を「辞めない理由」から考える、という視点や、高齢の父を見ながら気づいていく自立の捉え方など、生活の手触りから生まれた気づきがたくさんあるところです。大げさな成功物語ではなく、現実の生活を少しずつ前に進めていく空気がある。だからこそ、自分の暮らしにも自然と引き寄せて読めました。 今の場所で迷っている人、自分の年齢や環境を言い訳にしてしまいがちな人には、静かに効いてくる一冊だと思います。

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