
「声」の言語学入門 私たちはいかに話し、歌うのか (NHK出版新書)
川原 繁人
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この本について
言葉を扱う仕事をしていると、ときどき不安になります。自分の話し方ってどう受け取られてるんだろう、とか、文章ばかり触っているうちに「声」を置き去りにしていないか、とか。言語ってもっと“頭で考えるもの”だと思っていたけど、実際には身体の感覚やクセに左右されまくっていて、そのあたりがずっとモヤモヤしていました。 この本を読んで少し気持ちがほぐれたのは、「言葉って身体の営みなんだよ」と真正面から扱ってくれるからです。文字よりも圧倒的に長い歴史を声が担ってきたことや、名前の響きだけで大小を直感してしまう人間の不思議さを、具体的な実験やエピソードで示してくれる。俳優の発音を笑顔から読み解く話なんかは、声ってこんなにも身体と地続きだったのかと目が覚める感じがありました。著者自身の勘違いや失敗談もたくさん出てきて、「専門家でもこんなに迷うんだ」と思うと気が楽になります。 個人的には、声の仕組みを知ることが“話し方を矯正する”方向ではなく、自分の癖を面白がれる感覚につながったのが一番大きかったです。言葉にコンプレックスのある人ほど、この視点は効くと思います。 「声にまつわる自分の違和感を放置してきた人」に刺さる一冊です。
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