
マッキンゼー エネルギー競争戦略 (日本経済新聞出版)
瓜生田義貴, 板橋辰昌, and 柿元雄太郎
日経BP / 2025-05-08
この本について
エネルギーや電力の話って、仕事で避けて通れないのに、ニュースを追っても全体像がつかみにくくて、どこが本質的な論点なのか分からなくなることがあります。脱炭素を急ぐべきなのか、安定供給を優先すべきなのか、そのバランスをどう考えればいいのか……自分でも判断が揺れがちでした。 この本を読んで刺さったのは、ヨーロッパの混乱も含めて「うまくいっていない理由」が構造として丁寧に説明されていたことです。例えば、脱炭素を急ぎすぎると市場設計が追いつかず、結果として投資が止まること。再エネだけではバックアップが非現実的になり、水素火力など“調整できる電源”を一定割合で持つ必要があること。さらに、部材や工事人員といったサプライチェーン側の制約が、政策議論と同じくらい現実を決めていること。どれも現場で感じていた違和感に名前をつけてくれる内容でした。 特に、人口減少や地域特性によって電力ニーズがばらつく日本では、単に電源を増やせばいいわけではなく、エリア単位で供給と需要の構造自体を作り替える必要がある、という視点が腑に落ちました。AI需要で電力が急増する話なども、未来の話ではなくすでに始まっている課題として扱われています。 エネルギー政策や電力業界に関わっていて、表層の議論だけではどうも整理しきれない…という人にはすごく刺さると思います。現実的な制約を前提に考えるための“地図”がほしいときに、静かに効いてくる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの18%が集中しています。
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