
若きウェルテルの悩み(新潮文庫)
ゲーテ and 高橋 義孝
この本について
人を好きになると、自分でもびっくりするくらい情緒が乱れることがありますよね。会えるだけで一日がまるごと明るくなったり、相手の些細なしぐさに胸がざわついたり、理性では処理しきれない感情が押し寄せてきたり。大人になってもこういう気持ちに振り回される自分が、ちょっと恥ずかしく思えることもあります。 『若きウェルテルの悩み』を読むと、その“恥ずかしさ”が少し薄れます。抜粋を見てもわかるように、この物語の中心にあるのは、コントロールできない恋の熱と、その裏側にある嫉妬や不機嫌、虚栄心の揺れです。ウェルテルの「指が触れただけで全身がぞっとする」とか、「相手の幸福に嫉妬してしまう自分が嫌だ」といった感情は、今読んでもまったく古びていなくて、むしろ自分の中の言語化できていなかった部分を代わりに語ってくれているように感じます。 この本が効くのは、恋愛そのものよりも、“心が乱れる自分をどう扱えばいいか”というところです。たとえば、嫉妬や不機嫌が実は自分自身への失望から来ていることに気づけたり、相手を独占したくなる気持ちがどれほど人を追い詰めるかを、ウェルテルの極端な行動を通して俯瞰できたりする。自分の感情が大げさだと思っていた人ほど、読み終えたあとに「ああ、こういうふうに揺れるのは自分だけじゃないんだ」と少し肩の力が抜けるはずです。 恋で心がざわつくとき、それを“弱さ”だと決めつけてしまう人にこそ、静かに刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの23%が集中しています。
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