
セカンド・ラブ (文春文庫)
乾 くるみ
文藝春秋 / 2012-05-10
この本について
人間関係で「相手の本心が読めない」とか、「自分だけが不安を抱えている気がする」ときってありますよね。頭では落ち着きたいのに、ちょっとした沈黙や予定変更だけで心がざわつく。恋愛に限らず、人と深く関わるほど、その不安が勝手に育ってしまうことがあると思います。 『セカンド・ラブ』を読んでいると、その“ざわつき”の正体が少しだけ輪郭を持ちはじめます。正明が春香と向き合う中で揺れ続ける独占欲や猜疑心、そして「この判断は大丈夫だ」と思いたい自分。読者が保存していた場面も、まさにその揺らぎと自己欺瞞が一気に噴き出すところばかりでした。恋愛を扱いながらも、男女の心理よりもっと深い、他者を理解しようとするときの限界みたいなものが、妙にリアルなんですよね。 個人的に効いたのは、まず「人は都合よく安心したがる」という描かれ方。正明が“とりあえず大丈夫だろう”と判断してしまう瞬間に、自分の癖を重ねてしまいました。次に、相手の“過去”に対する独占欲がこんなにも具体的に描かれると、綺麗ごとだけでは片付かない心の動きがそのまま見える。最後に、嘘と真実が混ざり合う人間の顔が暴かれていく過程が、どこか現実の人間関係にも通じていて、少し距離を置いて自分を見られるようになります。 恋愛に限らず、「相手の心に踏み込みたいけど怖い」という人に刺さる物語だと思います。大きな答えをくれるタイプの本ではないけれど、自分の中にある不安や独占欲の形を見つけたいときに、そっと灯りをくれる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの19%が集中しています。
読書の順序
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