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ヴィヨンの妻

ヴィヨンの妻

太宰 治

三和書籍 / 20220415

累計読者数5
平均ハイライト数 5件/人
推定読了時間 約31分
star総合評価 44/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 39%

この本について

最近、うまくいっている日でもどこか胸の奥がざわついたり、「このまま何事もなく過ごせる日なんて来るのか?」と、根拠のない不安に足を取られることが増えていませんか。自分では真面目にやっているつもりでも、後ろ暗いところがあるような気がして落ち着かない。そんな感覚に覚えがあるなら、『ヴィヨンの妻』は思いのほかやさしく寄り添ってきます。 この物語が効くのは、太宰が人生の“曖昧さ”をまっすぐ描いているからです。たとえば、「寸善尺魔」という一文にあるように、少し良いことがあってもすぐに不安が追いかけてくる感じや、「人間三百六十五日、何の心配も無い日が半日あったら仕合せ」という言葉のような、完璧に晴れ渡る日なんてほとんど無いという実感。そのどれもが、自分の心の中のモヤモヤと同じ形をしていて、読んでいるうちに「不安があるからといって、ダメなわけじゃないんだ」と静かに視点が変わっていきます。 また、作中の人物たちが時に救いのない言葉を口にしつつも、ふとした瞬間に光のようなものを拾い上げていく姿が印象的です。午前の陽に照らされたコップがきれいに見える場面のように、どん底にいても小さな“生きていてよかった瞬間”が確かにある。そのささやかさが、逆に現実的で信じられるんですよね。「人非人でもいい、生きていさえすれば」という言葉も、決して励ましではなく、生き抜くための最低限の線をそっと提示しているだけ。その距離感がちょうどいい。 心のどこかで「完璧にやれない自分」を責め続けてしまう人に、静かに刺さる一冊だと思います。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

 シリーズ第4巻「ヴィヨンの妻」は、表題作のほか、「女生徒」「桜桃」「皮膚と心」「きりぎりす」の5篇を収載している。太宰治は、「人間失格」だけが名作ではない。女性を主人公とした作品も数多く、「女語り」の作家だといわれている。また短編の「桜桃」は、太宰が死の直前に書いた最後の作品で、主人公の「私」は太宰といわれている。

目次

ヴィヨンの妻   女生徒 桜桃 皮膚と心 きりぎりす
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