
鬼平犯科帳(一): 1
池波 正太郎
文藝春秋 / 2000-04-10
この本について
最近、人に向き合うときに「どこまで踏み込んでいいんだろう」とか、「正しさと情のバランスって難しいな…」と感じることが増えてきました。効率や合理性ばかり求められる場面が多いと、情を持つこと自体が余計なことに思えてくる瞬間もあります。でも、本当はそこに自分の判断の軸が隠れていたりしますよね。 『鬼平犯科帳』を読むと、その迷いが少しだけ整う感覚がありました。火付盗賊改という“特別警察”の立場にいる平蔵は、法より情を、情より理を、と一つに寄らず、状況ごとに身を翻していきます。規則通りに動く町奉行とは違い、臨機応変に処していく姿がとても人間らしい。現代の「情が削られがちな空気」と対照的だからこそ、読者が保存した抜粋にある「情の裏うちなくしては智は鈍る」という言葉が刺さったのだと思います。判断を迫られる日常の中で、自分の中に眠っていた“人としての重心”を思い出させてくれるんですよね。 しかも、池波作品は説教じみていないのに、登場人物の振る舞いから自然と胸に落ちるところがある。平蔵が笠を慌ててかぶって舟を急がせるような、ちょっとした所作にも、その人の覚悟や迷いがにじむ。こういう細部に触れていると、私たちも「完璧じゃなくていいけど、いざというときにどう動きたいか」を考えさせられます。 忙しさの中で“情”をどこかに置いてきてしまった気がする人。そんな人に、静かに効いてくる一冊だと思います。
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多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの29%が集中しています。
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