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死者の書

死者の書

折口 信夫

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累計読者数4
平均ハイライト数 1件/人
推定読了時間 約1時間30分
star総合評価 36/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 63%

この本について

日々の生活の中で、理由ははっきりしないのに「自分の感情の行き場がない」と感じることってあります。忙しさとは別のところで、ふっと心が宙ぶらりんになるような瞬間があるというか。こういう感覚って、言語化しようとしてもなかなか形にならないので、余計にモヤモヤが残るんですよね。 折口信夫の『死者の書』を読んでいる人が「御灯を照した」や「耳面刀自」のような場面を残すのは、その曖昧な感情が静かに動き出すところに反応しているからだと思います。誰かを弔うでもなく、でも確かに誰かの気配に触れているような描写は、現実の私たちが抱える名づけられない気持ちに近いものがあるんです。光を灯すという小さな動作が、喪失や迷いといった大きな感情をそっと動かす。そういう一瞬がこの物語の随所にあります。 この小説が効いてくるのは、派手な答えがほしいときではなく、むしろ自分の内側にある微細な揺れを確認したいときです。たとえば、理由のわからない不安をそのまま抱える勇気をくれたり、誰かの不在を丁寧に感じ取ることが「前に進むこと」と矛盾しないと気づかせてくれたりします。また、古代の語りを通して、自分の感情をより長い時間軸で捉えられるのも、この作品ならではの体験だと思います。 こんな人に刺さるのは、「心の奥に沈んでいるものを、言葉ではなく空気で確かめたい人」。物語として楽しむというより、自分の内側を静かに点検するためにそばに置いておく一冊です。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

民俗学者・国文学者・歌人の折口信夫による幻想小説。奈良の當麻寺に伝わる、当麻曼荼羅縁起・中将姫伝説に着想を得て書かれた作品。 この中将姫にあたるのが、物語の主人公となる藤原南家郎女である。中将姫は奈良時代に藤原豊成の娘として生まれ、4歳で「称讃浄土経」に出会ったことで観音様を深く信仰。 10代の中頃、「称讃浄土経」の写経を始め、1000巻の写経を成し遂げたある日、夕陽の中に阿弥陀仏の姿が浮かび上がる光景を目にする。 その阿弥陀仏は、物語の冒頭で二上山山頂で眠りから目覚める死者……中将姫の尊い俤(おもかげ)びとである大津皇子なのである。 中将姫は、その俤びとを曼荼羅に織り上げることで彷徨う魂を鎮め、自身も極楽浄土へと旅立つ。この二上山は、謀反の嫌疑がかけられ非業の死を遂げた大津皇子の魂が眠る地とされている。
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