
逆説の日本史12 近世暁光編/天下泰平と家康の謎 (小学館文庫)
井沢元彦
小学館 / 2008-06-11
この本について
仕事でも日常でも、「なんで自分はこんなに決めきれないんだろう」と感じるときがあります。頭ではわかっているつもりなのに、一歩が遅れる。あるいは、歴史上の人物みたいにスパッと決断できたら…なんて思う。でも、この本を読んでいると、そもそも“迷わないリーダー像”みたいなもの自体が思い込みだったのかもしれない、と思わされます。 読者の方の抜粋にもあるように、徳川家康は関ヶ原で勝ってから豊臣家を完全に倒すまで十五年もかけています。しかも五十九歳から七十四歳までという、現代以上に「いつどうなるかわからない」年齢での十五年です。こういう「時間のかけ方」を知ると、歴史の人物が果断な英雄に見えていたイメージがほぐれて、自分のペースの迷いや逡巡にも居場所ができるような感覚があります。 さらに、本書は家康の慎重さの裏側にある社会意識――たとえばケガレ観や差別の構造、戦の後始末にまつわる日本特有の感情――を丁寧に拾ってくれます。歴史の一場面を「合理的な結果」だけで片付けず、当時の空気や価値観の中で読み直すことで、物事が一直線には動かない理由が見えてきます。これが、現代の私たちが抱える“判断の遅さ”の正体にも少し重なるんですよね。 勢いで動けない自分に後ろめたさを感じている人や、「迷うことにも意味があるのか?」と考え始めている人に刺さる一冊だと思います。歴史を知るというより、自分の行動のスピードに対して小さな許しを持てるようになる本、という位置づけで読むとちょうどいいはずです。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第9章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
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