
心臓に毛が生えている理由 (角川文庫)
米原 万里
KADOKAWA / 2008-04-30
この本について
仕事でも生活でも、ふと「なんで自分はこんなに周りに合わせてばかりなんだろう」とか、「もっと自由に考えていいはずなのに」とモヤっとする瞬間があると思います。正しさより“空気”が勝つ場面が続くと、自分の感覚がどこか奥に引っ込んでしまうような感覚が出てくるんですよね。 米原万里さんの『心臓に毛が生えている理由』は、そのモヤモヤに真正面から寄り添ってくれる本でした。読者が保存した抜粋を眺めていると、この本に惹かれる人は「自分の感覚や思考を、もっと自分で育てたい」と quietly 思っているんじゃないかと感じます。たとえば、きらびやかな財宝の裏にある皇帝の疑心暗鬼を描く場面には、“華やかに見えるものほど不安の裏返し”という視点があるし、日本の集団食堂のプラスチック食器をめぐる描写には、効率を優先するあまり感覚が痩せていく日常への違和感がにじんでいます。そして、年齢によって笑えるポイントが共有できないエピソードでは、「感じているのに表に出せない」という、今のコミュニケーションの閉塞感が浮かび上がってきます。 この本が効くのは、こうした“どこかで思っていたけど言語化できていなかった”違和感に、具体的な場面と言葉で光を当ててくれるところです。ものの見え方がひっくり返る瞬間が何度もあって、読んでいるうちに自分の感覚をもう少し信用していいのかもしれない、そう思えるようになります。効率や常識のほうに寄りすぎていたバランスが、少しだけ自分側へ戻ってくる感じです。 「周りと同じでなくても大丈夫、という感覚を取り戻したい人」に静かに刺さる本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの40%が集中しています。
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