
ガセネッタ&シモネッタ (文春文庫)
米原 万里
文藝春秋 / 2003-06-10
この本について
仕事でも日常でも、自分の見えている世界の狭さにハッとすることがありませんか。多様性を尊重したいと思いながら、気づけば自分の基準だけで「普通」を決めつけてしまう。あるいは、国際化だの異文化理解だのと言われても、どこか表面的な話にしか聞こえず、どう距離を取ればいいのか迷ってしまう。僕もよくその迷路に入り込みます。 『ガセネッタ&シモネッタ』が面白いのは、そういうモヤモヤに対して「肩の力を抜いたまま視野が勝手に広がる」感覚をくれるところです。著者の米原万里さんは、一見すると専門的なテーマを扱っているようでいて、その根っこにあるのは“人間の面白さ”というシンプルな視点です。例えば、言葉は美しいものだけで世界を説明できない、という指摘は、僕らが普段使う言葉の幅を見直すきっかけになりますし、世界の出来事や歴史の描写も、難解さより「こんな人たちが生きていた」という実感が先に立ちます。 そして何より刺さるのは、読者が保存していた抜粋にもある「脳内の映像図書館」の話。自分の体験だけでは世界が足りないけれど、本や映画が勝手に素材を蓄えてくれている、というあの感覚は、日々のインプットの意味を少し楽にしてくれます。多文化理解や国際化という言葉に苦手意識があっても、この本なら“人を見る”ところから自然と入れるはずです。 こんな人に刺さると思います。自分の世界を広げたいけれど、努力目標みたいな国際理解にはちょっと疲れている人。読んでいるうちに、勝手に視野が広がっていく体験ができる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの28%が集中しています。
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