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父と暮せば(新潮文庫)

父と暮せば(新潮文庫)

井上 ひさし

こまつ座 / 1998-05-20

累計読者数4
平均ハイライト数 2.8件/人
推定読了時間 約2時間36分
star総合評価 45/100
boltライト読書型
check_circle推定完走率 56%

この本について

ときどき、自分だけが「生き延びてしまった側」にいるような気がして、理由のわからない後ろめたさに飲まれることがあります。誰かの期待や悲しみに触れたとき、なぜ自分がここにいるのか、その説明がつかなくなる瞬間ってありますよね。 『父と暮せば』の抜粋を見ていると、まさにその感覚を言葉にしてくれているように思いました。美津江が抱えている「生きてしまったことへの罪悪感」や、「しあわせになってはいけん」という思い込み。その重さって、時代や背景こそ違えど、私たちが普段抱える罪悪感とつながるところがある気がします。この本は、そこに真正面から向き合う人物の姿を通して、心の奥に沈んでいた感情をそっと引き上げてくれます。 印象的なのは、登場人物が一歩前に進むきっかけが、立派な言葉ではなく、饅頭の意味ひとつ取っても「読み取る勇気があるかどうか」といった、ごく日常的なやり取りに宿っているところです。それは、私たちの生活の中でも同じで、自分を許すヒントって、劇的な出来事よりも、誰かの何気ない言葉や、ふとした場面にひっそり混ざっているのかもしれません。また「静かに生きて、機会がきたら姿を消したい」というつぶやきも、自信が持てない日々をどうにか耐えてきた人なら、どこか身に覚えがあるはずです。 過去の重さとどう折り合いをつければいいのか。自分には語る資格なんてないと思ってしまうとき。そんな迷いを抱えている人にこそ、静かに届く物語だと思います。

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書籍情報(出版社紹介・目次)expand_more

出版社による紹介

ヒロシマの悲劇に直面した父娘の切実な対話が、感動の渦をまき起こす二人芝居。
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