
古典落語(上) (講談社文庫)
興津要
リベラル社 / 2021-01-21
この本について
忙しさに押されて、気づけば同じ言い回しや狭い語彙の中だけで会話してしまうことってありませんか。仕事でも日常でも、「なんか言葉の引き出しが足りないな…」と感じる瞬間があって、でもいざ増やそうとすると、辞書を眺めてもピンと来ないまま終わってしまう。自分もそうで、行き詰まった時期に手に取ったのが『古典落語(上)』でした。 読者の方が保存していた抜粋を見ると、「穴釣り」「一献」「地口あんどん」「こわめし」みたいな、意味はぼんやり知っていても、どこか体温を感じる日本語に反応しているように思います。単に古い語彙の説明ではなく、その言葉が昔の生活の中でどう使われていたかが短い解説を通じて立ち上がるので、語彙そのものより“情景の奥行き”が増える感覚があるんですよね。言葉を覚えるというより、言葉の後ろにある気配が読めるようになる感じです。 もう一つ大きいのは、自分が持っていた固定観念がゆるむところです。「餅は餅屋」みたいに当たり前に聞こえる言い回しでも、落語の流れに置かれると別の表情を見せます。専門性の話じゃなくて、その場にいた人たちがどう身を置き、どんな距離感で会話していたのかが伝わってくる。忙しい現代でも、人との関わり方にちょっと余白を持てるようになるというか、無駄に結論を急がなくていいんだなと思わせてくれます。 こういう言葉の背景ごと味わいたい人には特に刺さる一冊です。落語のストーリーを追わなくても、拾った言葉だけでじわっと効いてくる。日々の会話に少しだけ深みを足したい時、ちょうどいい距離で寄り添ってくれます。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの67%が集中しています。
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