
邪宗門 上
高橋和巳
河出書房新社
累計読者数4
平均ハイライト数 38.5件/人
推定読了時間 約7時間42分
star総合評価 56/100
start序盤集中型
check_circle推定完走率 10%
この本について
日々やるべきことに追われていると、自分の立っている場所がいつのまにか曖昧になっていく感覚ってありませんか。過去にあったはずのものが気づけば跡形もなく変わっていて、「この変化って何だったんだろう」と立ち止まりたくなる瞬間。『邪宗門』を読んでいて、保存されていた抜粋の多くがまさにその“揺らぎ”に反応しているのを感じました。 この物語では、教団の繁栄と崩壊、その裏で生きていた人たちの生活がとても静かに、でも容赦なく描かれます。廃墟になった本殿の礎石を跳ね回る少年や、わずかな留守の間に娘を失った家族、行き場をなくした女工たち。こうした断片に触れていると、信仰とか組織の話というより、「私たちが何を頼りに毎日を踏ん張っているのか」という問いがじわじわ浮かんできます。大げさな教訓ではなく、ただ人の生活や感情がそのまま積み上がっている感じがあって、読みながら自分の歩き方を自然に見直してしまうんですよね。 個人的には、変化が起きるときに何が残り、何が失われるのかを丁寧に見せてくれるところが、この作品の一番の効きどころだと思っています。歴史的な話に見えて、実は「自分の足元を見つめ直したいとき」にしずかに効いてくる本です。 過去と現在のあいだで立ち止まりたくなる人に刺さる一冊だと思います。
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出版社による紹介
孤児・千葉潔は戦前、亡き母の信仰していた「ひのもと救霊会」に救われる。教団は戦中に国家の激しい弾圧を受け解散を余儀なくされる。敗戦後、散らばっていた信者は再結集し復活。千葉潔は共謀して第三代教主を簒奪。教団は急進化し、自治国家を樹立するべく武装化。国家からの独立宣言を行うが……。「悲の器」で第1回文藝賞を受賞し、39歳の若さで早逝したあの天才作家が『朝日ジャーナル』に連載した、壮大にして深遠なる叙事詩的巨篇。戦後文学の到達点として今も多くの読書人が必読書として絶賛し続ける名作中の名作!
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