
すべての男は消耗品である。VOL.1~VOL.13: 1984年8月~2013年9月 連載30周年記念・完全版
村上龍
この本について
仕事でも生活でも、何か判断しようとするときに、自分の考えがどこから来ているのか分からなくなることがあります。歴史や社会構造の話になると急に口をつぐんでしまう自分にも気づきます。目の前のタスクは片づいても、長いスパンでどう生きたいのかを言語化できないまま時間だけが流れていく……そんな感覚、けっこう共有されているのではないでしょうか。 村上龍の「すべての男は消耗品である。」は、一見すると挑発的なタイトルですが、読んでみるとむしろ逆で、社会の仕組みや人の欲望を正面から扱いながら、自分の視点の偏りに気づかせてくれる本です。たとえば、歴史を“今の価値観”で判断することの危うさや、ひきこもりが成立する背景にある資産構造の話など、自分が知らない前提にどれだけ乗っかっていたかにハッとします。また、「思考は自分の中の矛盾からしか生まれない」という言葉の通り、あえてズレを抱えたまま考え続ける姿勢を求められているようにも感じます。 さらに印象的だったのは、「人生に戦略がないとチャンスは最初からない」という指摘です。努力の量ではなく、どこに資源を投下するかで人生が分かれていくという感覚は、仕事に迷っている時ほど刺さるはずです。この本は決して解決策を手渡してくるタイプではないのですが、自分の立っている場所を相対化しながら、どうやって次の一歩を考えるかの足場を作ってくれます。 「社会の複雑さと、自分のモヤモヤの関係を一度ちゃんと見たい人」に、とても向いている本だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの43%が集中しています。
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