
春宵十話 (光文社文庫)
岡 潔
この本について
仕事でも生活でも、頭で考えてばかりいると、どうにも判断の軸がぶれてしまうことがあります。効率だとか正しさばかりを追っているのに、どこか落ち着かない。もっと大事なものがあったはずなのに、それが言葉にならないまま日々が過ぎていく。そんなときに岡潔の『春宵十話』を読み返すと、自分の中で眠らせていた感覚が少しだけ息を吹き返します。 刺さるところは人それぞれですが、多くの人が保存している箇所を見ると、共通しているのは「人は理性だけでは生きられない」という気づきでした。情緒や思いやりといった、普段は脇に置かれがちな力こそ、人をまっすぐに立たせる土台になるという視点です。数学の話をしながらも、岡潔は「心の目で見る」感覚を語り続けます。これは専門性とは関係なく、ものごとの受け取り方を調整するためのヒントとして読めますし、何かを理解しようと焦っている時期には特にしみます。 もう一つ、この本が効いてくるのは「成熟には時間が必要だ」というところです。わからない時期やぼんやりする時期は、実は必要な準備期間であって、そこで焦るほど自分の軸が削られていく。たぶん現代のスピード感に疲れている人ほど、この一文に救われるはずです。 派手な教えはなく、読めばすぐ人生が変わるような本でもありません。でも、自分の感情の奥にある静かな層に気づきたい人、あるいは「理屈はわかるのに心が動かない」と感じている人には、じわじわ効いてきます。読後にすぐ答えが出なくても、あとからふと視界が澄むような、そんな読書になると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの17%が集中しています。
読書の順序
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