
論理病をなおす! ――処方箋としての詭弁 (ちくま新書)
香西秀信
この本について
議論の場で、相手の発言そのものよりも「なんかこの人苦手だな」とか「この言い方ムカつくな」に引っ張られて、内容が頭に入らなくなることってありませんか。自分でも気づかないまま、人の印象と論の評価をごちゃまぜにしてしまうあの感じ。最近のネットでも、意見より人格を先に叩く流れに巻き込まれて、あとから「これ、本当に相手の主張を読んでたっけ…?」とモヤモヤすることが増えている気がします。 この本は、そのモヤモヤを“正す”というより、「どこで論理がねじれてしまうのか」を丁寧に見せてくれる一冊でした。抜粋を見ていても、読者が刺さっているのは、詭弁が悪意のテクニックではなく、自分の偏見や曖昧な言葉のまま議論に突っ込むことで自然発生してしまう、という視点なんだと思うんです。例えば、人と論を無理に切り離そうとすると逆に誤解が増えるとか、多義的な言葉を「一義」と思い込んだ瞬間にすれ違いが生まれるとか、かなり日常のコミュニケーションにそのまま置き換えられるポイントが多いです。 読んでいくと、相手の主張を都合よく極端に解釈してしまうクセや、反対意見を最初から読み取る気がないまま文章を読む姿勢など、自分の中の小さな“論理病”がいくつも見えてきます。そして、この本のいいところは、詭弁を「悪」と決めつけず、人間が完全に合理的にはなれないことも前提として扱っている点です。そのおかげで、読む側も身構えずに、自分の思考の揺らぎと向き合えます。 文章の行き違いに疲れている人、衝突したくないのに衝突が増えていると感じる人には特に刺さると思います。論理の問題というより、人との距離感や思い込みの扱い方の本に近いので、議論が苦手な人にも意外とすっと入るはずです。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの21%が集中しています。
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